WBCで好守備を見せた次の回、観客の声援に応える(写真提供:読売新聞社)
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で、見事三度目の優勝を果たした侍ジャパン。日本戦は全7試合で視聴率が40%を超えるなど、大きな盛り上がりを見せた。なかでも注目を集めたのは、日本人の母を持つメジャーリーガー、ラーズ・ヌートバー選手の存在だ。走攻守揃ったプレーはもちろん、栗山英樹監督をして「100%全員が好きになる」と言わしめた人柄、そして母・久美子さんの愛すべきキャラクターも人気を呼んだ。大会直後の久美子さんにいまの思いを聞いた。発売中の『婦人公論』2023年6月号から、特別に記事を先行公開いたします。(構成=田中 仰)

<前編よりつづく

プリスクールを自ら開設して

ラーズが5歳になり、キンダー(義務教育前に通う保育施設。日本における幼稚園年長クラス)に通い出したのを機に、私はプリスクール(キンダーの前に通う保育施設)のアシスタントティーチャーとして働くようになりました。

子どもたちが小さいうちは、学校から帰ってきたときに「おかえり」と出迎えてあげたいので午前の部の担当にしてもらいましたが、家事、学校や習い事の送り迎え、仕事……と目まぐるしい日々でしたね。

2022年にリタイアしたので、20年この仕事を続けたことになります。本当は3年前、コロナ禍の影響でプリスクールが閉鎖されたのを機にやめようとしたのですが、子どもを預けられなくなった知人から「クミ、短い時間でいいから子どもたちを預かってくれない?」と頼まれてしまって。

育児の大変さはわかるので、それならいっそ自分でプリスクールを開設しよう、と考えました。当初は5人ほどを預かる予定だったのですが、いつの間にか14人に増えてた(笑)。1人で見られる人数ではないので、アシスタントティーチャーとしての最初の教え子にボランティアで手伝ってもらいました。