これからが本番だから頑張ってほしい
ラーズがプロ野球選手になったばかりの頃はコロナ禍で、長期間にわたって試合が開催されませんでした。ジムも閉鎖しているので、体も鍛えられない。悶々としたと思いますが、だからといってダラダラするくらいなら、社会勉強としてアルバイトをしなさい、と言いました。
華々しく見えるプロ野球選手といっても、いつクビになるかわからない厳しい世界。若いうちから現実的な視点も持っておいてほしかったんです。
ラーズは週に6日工場で働いて、仕事が終わってから練習をしたり、大学のオンライン授業を受けたり(メジャーリーグでは、ドラフト指名を受けるのが大学3年を修了以降)していました。
侍ジャパンに合流するときも、日本語はまったく話せないし、さすがのラーズにも不安な気持ちはあったと思う。でもそこは彼も大人。なにも言わなかった。私から伝えたのは、挨拶を忘れないこと、そして、とにかく楽しんでくること。だから「よろしくお願いします」という挨拶は教えました。(笑)
でも彼がチームに溶け込めたのは、やっぱりチームメイトが「たっちゃんTシャツ」を着て迎えてくれたことが大きかったんじゃないかなあ。あれは、誰だってグッときちゃいますよね。
WBCの間、侍ジャパンの選手のお母さま方と交流を深められたのも、私にとっていい思い出でした。東京ドームのチケットの受け渡し場所で待っていたら、佐々木朗希選手と山本由伸選手のお母さまに声をかけていただいて。
そのままLINEを交換して、すぐ仲良しになりました。マイアミでも一緒に観戦しましたし、いまもちょくちょく連絡をとっています。
優勝後、ラーズには「これからが本番だから切り替えてね」と伝えました。所属するカージナルスで、ラーズはまだまだチャレンジャーの立場。オフシーズンに帰ってきたら栄養満点の料理で迎えて、少しでもリラックスできるようにサポートを続けていくことになるのかな。キャッチボールも、いままで通りつきあってあげたいと思います。
大谷翔平選手と3年後のWBCで再び一緒に戦う約束をしたそうですが、出られるかはこの先の活躍次第じゃないですか。頑張ってほしいと思います。でも本当に切り替えなきゃいけないのは、優勝の瞬間に号泣した私かもしれないのですが。(笑)
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