2023年5月28日、大相撲5月場所が東京・両国国技館で幕を閉じました。横綱・照ノ富士は、4場所休場からの復帰で見事優勝を飾りました。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「25年ぶりに「ずぶねり」も飛び出した大相撲5月場所。照ノ富士が霧馬山と力相撲のすえ14日目に8回目の優勝を決めた」はこちら

横綱・照ノ富士の貫禄をさらに感じる

大相撲夏場所の千秋楽は、14日目に8回目の優勝を決めた横綱・照ノ富士の貫禄をさらに感じるとともに、大関に昇進するのは関脇・霧馬山だけではないという、他の関脇たちのすさまじい意地を見ることになった。

殊勲賞は、照ノ富士にただ一人勝った前頭6枚目・明生が初めて受賞。力士がもらって一番嬉しいと言われる技能賞は、霧馬山(3回目)と初めて関脇・若元春が受賞した。敢闘賞の該当者はなかった。

照ノ富士は昨年秋場所に途中休場し、10月に4回目の膝の手術をしただけでなく、持病の糖尿病も悪化して3場所全休した。優勝の賜杯を授与されたあと、照ノ富士は土俵下でのインタビューに答え、「1日でも早く復帰して土俵で戦っている姿を皆さんに見せるのが自分の仕事だと思っていた。最初からやれるという気持ちがなくて土俵に上がるのは、失礼なこと」と語った。横綱の重圧をはねのける責任感の強さに感激して、テレビに映る照ノ富士を拝んでしまった。

結びの一番では、久しぶりに横綱と大関の対戦が見られると期待したが、大関・貴景勝は照ノ富士に押し出された。貴景勝は8勝で終わったが、先場所の横綱への挑戦から一転して、膝の怪我で休場してカド番となり、なんとか苦境を乗り越えようとする姿に胸を打たれた。

気持ちが強いといえば、関脇陣だ。「次の大関は俺だぜ。俺の方が強いからね」という気迫が、大栄翔と豊昇龍にあふれていた。
先場所優勝し、場所後の大関への昇進が確定とされている霧馬山に対し、関脇・豊昇龍が吊り上げてからの下手投げを見せた。霧馬山は11勝4敗、豊昇龍は不戦勝が2勝あるが同じく11勝4敗となった。