そのとき対話の意識は相手のほうを向いているのではなく、「恥を見せない自分」のほうに向いています(写真提供:Photo AC)

マウントを取るとは ~恥を隠して武装する

誰かと話して、有意義な時間だったはずなのに、なんだかどっと疲れたという経験をしたことはありませんか。もしかすると、恥をかかないよう理論武装した「マウント取り屋さん」がいたのかもしれません。

恥という感情は、生まれたときにはありません。ある程度、成長してから学ぶ感情だと言われています。何か失敗をしたときに、周りの目を気にして自分が抱く社会的な感情ですから、親に守られた世界で恥をかくのは難しいのです。

保育園や幼稚園、小学校に行くようになり、社会のなかでの自分の振る舞いを見たときに、「羞恥心」が現れます。

 

日本は「恥の文化」と言った人がいます。アメリカの文化人類学者R・ベネディクトが『菊と刀』のなかで使った言葉です。日本人は世間体を考え、それによって自分の行動を正していき、社会を構成します。確かに「恥」という感情は、日本人の行動規範のいちばん深い部分にある感情なのかもしれませんね。

 

では、どんなときに、人は「恥」を感じるでしょう。

恥ずかしいという感情は、「自分/他者がイメージ、期待している自分との乖離」によって生じる感情です。つまり、期待と現実とのギャップで起こります。