たとえば、自分は勉強ができると思っていた(期待)けれども、試験に合格できなかった(現実)。このときに「現実の自分を否定する」感情が起こります。それが「恥」という感情です。自分を否定する感情なので、「恥」を感じ続けることは、自己否定につながります。だから人は自分を守るためにも、恥をかかないようにしようとします。
そして恥をかくと、それを否定するかのように自信たっぷりに振る舞ったり、本当は自分は期待以上の人間であるとアピールしたりするわけです。
こうした行為は防衛本能の一種ですが、本人も周囲もそのことに気づいていない場合があります。身の丈以上に自分を過信したり、周囲も「自信のある人なんだな」「すごい人なんだな」と思ったりということが起こります。
人と対話するときに、自分を身の丈以上に見せようとする「マウント取り屋さん」も同じです。恥をかかないように、理論武装で自分を守ります。恥ずかしい部分を隠すために、パワーを誇示します。
そのとき対話の意識は相手のほうを向いているのではなく、「恥を見せない自分」のほうに向いています。自分の不足を埋めるための対話なので、ある意味対話になっていないのです。
そういう人と話していると、その人の考えのなかに入っていこうとしても、なかなかうまくいきません。結局、表面的な話にしかならず、疲れてしまいます。
※本稿は、『私らしい言葉で話す 自分の軸に自信を持つために』(著:SHOWKO/CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
『私らしい言葉で話す 自分の軸に自信を持つために』(著:SHOWKO/CCCメディアハウス)
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