絵本の読み方は家族でだって人それぞれ
山口 うちは今年、長女が16歳、長男が12歳、次女が6歳になるんです。今は一番下の子に絵本を読むことが日課で、毎日夫(爆笑問題の田中裕二さん)が、絵本を2冊読み聞かせてから眠っています。次女が絵本を読んでいる時に、長女も「懐かしい」と手に取ることもあって、家族の思い出が詰まっている絵本って、すごいなと感じますね。
磯崎 うちは息子がもう19歳なのですが、うちの夫が、探し絵本を子どもと一緒に読む時、性格的に先に見つけて言ってしまうんですよ。私の感覚からすると、子どもが一生懸命探しているのに「あった!」と言ってしまうなんて信じられない(苦笑)。でもそれを繰り返していると、だんだん息子も父親より先に見つけようと必死になるので、それもいいなと(笑)。私とは安心して絵本が読める、父親とは競争…父親と母親の役割が違うのも悪くないんじゃないかなと思います。
山口 絵本は子どもに読むものだから、やさしい内容を選びがちですが、そうじゃない作品もいっぱいありますものね。子ども目線で選ぶのもいいですが、親が読んで気に入る絵本もいいですし。
磯崎 そうですね。大人も絵本に対する感覚は人それぞれなので、面白いもの、得意なもの、共感できるものが違っていて。子どもも「この絵本はお母さんに読んでもらおう」「こっちはおじいちゃんがいいな」というように、読み手をわけるのもいいですよね。絵本を読んであげるというのは、一番簡単に子どもにしてあげられることなのかなと思うんです。
たとえば、家庭での役割を考えた時に、なかには家事や育児に参加したいのに苦手だからできない、という方もいるかもしれない。でも、ほかの家事に比べたら、絵本を読んであげることでお母さんの手があいて子どもも喜んでと、役に立つんですよね。
寝かしつけにしても、何もなくお話をしたり子守唄を歌ったりして寝かしつけるのは大変ですが、絵本があればすぐ寝てくれることがわかると、「これは便利」とお互いに共有できる。そうやってなんとなく子育てに巻き込んでいくのはスムーズかなというのはありますね。
山口 絵本の種類を「これ!」と決めてしまうのも、楽かもしれません。もしも読み聞かせが得意でなければ、「この1冊を毎日読む」と決めて読んでも親子の思い出はできますし、子どももストーリーを覚えて想像もしやすくなりますよね。たくさん絵本を読むのが、良い親とは限らないと思います。うちの夫は今のところは、たまたま毎日読んでいますが、たとえばこれが1日3冊読むのが子育てには必要です、と断言されてしまうと、親も大変プレッシャーがかかってしまいます。私の場合は子どもに寝てもらいたいがために、絵本を読んでいます。(笑)
磯崎 うちも同じ絵本を子どもに読みながら、さらにおでこをやさしくなでつけてあげると、催眠効果なのか、寝ちゃうんですよ(笑)。ちょっと大きくなってからもそれをやってると、「なんかちょっと僕、眠くなってきた」なんて言われたこともあったりして。
山口 いいですね。(笑)
磯崎 それで思い出したんですが、祖父がたまに遊びに来ると、お話するのが好きで、絵本を読んでいたはずがすぐ脱線して、違う話をしはじめるんです。それを子どもが喜んで。祖父が帰ると、私にそれをやってと言う。でも毎日新しい話をしようと思うのにできないんです。結局、「みんなで仲良く遊びました」で終わるんですが、自分流で話すというのも才能かもしれませんね。
山口 確かに。あとは、大人が一方的に話すよりは、「そして」と言って子どもに話をふると、「そこにうさぎもやってきて〜」と言って登場人物が増えることも。それもちょっと楽しい遊びです。
磯崎 それはとっても楽しそうですね。先日、偶然聞いた話なんですが、アメリカでは絵本の次のページを開く時に「さて、どうなるでしょう?」と質問するらしいんです。子どもは、自分で答えを積極的に見つけていく。そのまま読んでももちろん面白いですし、いろいろなやり方があります。
山口 国によって読み方が変わるのは初めて知りました。面白いですね。