詩集を上梓した伊東友香さん(写真提供:伊東さん)

自分を愛せるようになるために……。胸の裡からこぼれ出た想いをそのままに綴った詩が、多くの女性の共感を呼んでいる伊東友香さん。リリー・フランキーさんは「ここにある言葉は、歩いてやってくる。そして気がつけば、心の椅子の隅っこにひざを抱えて、座ってる」と、鈴木涼美さんは、「残された者の引き受けた孤独にこそ、神様は宿るのかもしれない」 と彼女の詩を評する。彼女が詩を書く理由とは――。

負のスパイラルへ導くトリック

私が詩を書くのはまずは自分のため。
そしてあわよくば、女子トークで「うんうん、わかるわかる!」と共感して欲しいとまで言わないが「そうか、私もそんな時あるよ」と、テンション低めに人知れず安心してもらえたらという願いを込めている。

毎朝、つい見てしまうスマホのニュースには、誰かが不倫しただとか薬物で逮捕されただとか、別の国では法にも触れないような事柄で、糾弾されている人たちがいる。

脳科学者の人いわく、人間は残虐性をひめていて、自分と違うことをする人を虐めるのが好きらしい。自分だけいい思いをしている人を村社会の精神で一致団結して排除するのだ。メディアがちょうどいい餌を与え一般人が食いつく。アホらしいなと辟易しながら、読んでいる時点で自分も同じ穴の狢だ、と気は滅入る。

なんか楽しい情報はないかなとSNSを覗けば、もう、毎日楽しくてヤバい! みたいな投稿が続く。楽しい情報は欲しいけれど、他人が楽しくても自分は別に楽しくない。母の日に花束をもらった投稿を見れば、素晴らしいお子さんをお持ちで羨ましいわと思うし、夫さんとミシュラン店でイタリアンを食べているストーリーを見れば、本当だろうかと思う。たまに現れる皺が増えただの更年期だのという書き込みさえも、キラキラ感を保ちつつの、親近感アピールに思えて、疲れた私には響いて来ない。

自分で自分を追い込む負のスパイラルへ導くトリックか。不安感を煽り購買意欲を掻き立てるAIマジックか。スマホ中毒は美容にも悪いが、間違いなくメンタルにも悪影響だな。

(写真提供:伊東さん)