●訪問介護の主なサービス内容

現在、ヘルパーの仕事内容は、掃除、洗濯、衣類の整理、調理、買い物、薬の受け取りなどの「生活援助」と、排泄や食事の介助、清拭や入浴介助、体位変換などをする「身体介護」に分類される。

そして利用者の身体に触れることのない生活援助の介護報酬は、身体介護の約6割に抑えられている。この格差に対しても、現場の不満の声は大きい。

「生活援助、家事援助は生きるために絶対に必要なこと。たとえばオムツ交換は身体介護に当たりますが、そのとき汚れた下着やシーツは誰が洗うのでしょうか。水分補給の介助自体は身体介護ですが、誤嚥しないように『とろみ剤』を介護用品店で買って飲み物にとろみをつけるなど、一連のケアの行為には必ず生活援助がついてまわります。身体介護だけで生活できる人なんていません」と櫻庭さん。

たしかに、生活援助を通じてその人の健康と生命を支えることが介護保険の出発点だと考えると、「身体」と「生活援助」に分けられていること自体がおかしい。

だが現行システムでは生活援助の収益が低いため、これを敬遠して身体介護を中心に請け負う事業所もあるという。介護保険ができたときは約300人いた櫻庭さんたち連絡会のメンバーも、孤立化や低賃金で生活できないことなどを理由にどんどん人が減り、今では50人を割り込んでいる。

<後編につづく