イラスト◎岩田リョウコさん

新型コロナウイルス感染症の水際措置が緩和され、さまざまな場面で海外交流の機会が増えるのではないでしょうか。12年間のアメリカでの生活の後、日本に帰国して執筆活動をしている岩田リョウコさんが教える、日本とアメリカの日常生活の違いとは。医療費が高すぎるため、「歯の治療」をするために日本に帰国したそうで――。

盲腸で300万円、高すぎる医療費

「あー、アメリカのにおい!」日本に一時帰国して、実家でスーツケースを開けると母が必ず言うセリフでした。

「アメリカのにおいってどんなにおいよ?」ってずっと思っていたけれど、長期帰国をしてから8ヶ月ぶりにアメリカの空港に降り立ったとき、ふっと香った甘い綿菓子のようなにおい、これが母の言うアメリカのにおいだとわかりました。

アメリカと日本、においさえもちがうのだから、生活にもちがいがいっぱい。日本では当たり前のことが、まったく当たり前ではなかったり、またその逆もしかり。アメリカで生活しながらびっくりしたことは結構あります。

まずは医療費。とにかくものすごく高い。どれくらい高いかというと、アメリカで友人が盲腸になって手術をして退院後に届いた請求書を見たら、その額なんと300万円!

しかも手術して翌日に退院させられるというハードモードで。日本で盲腸の手術をしたわたしは1週間入院して、お金を払うどころか保険がおりて逆にお金儲かっちゃったというのに、です。

本来そんな高い医療費をカバーするためにあるのが健康保険ですが、アメリカの健康保険はこれまたクセもの。日本のように「国民皆保険」という制度はありません。日本だと、民間の生命保険みたいなイメージ。自分で選ぶものなんです。健康保険料もすごく高いです。

会社に所属していると、会社が決めている保険会社に加入します。保険を用意していない会社の場合は、やっぱり自分で入ります。