旅の前、75キロはあったはずの体重は58キロに激減。怒鳴る勢いもない夫に「ざまを見ろ!」と内心勝ち誇った気持ちになったが、この日から私にとってまったく別の闘いが始まった。

激痩せして「旅で悪霊を祓い落としてきてから一気に体が軽くなった」などと軽口をたたいていたのも束の間、夫は、尿漏れを頻発するようになったのである。泌尿器科を受診し、過活動膀胱と診断を受け、薬を処方してもらったもののいっこうに改善はみられなかった。

体重も2~3キロしか戻らず、心配してかかりつけ医で血液検査などを受けたが、数値は私より良く、医師からは、一時的な疲労だろうと言われたとのこと。が、その後も尿漏れが改善することはなかった。

好き勝手やってきたこの人のためになんで私が──。シミのついたパンツを洗いながら、今さらクーリングオフもきかない夫にため息をつく。
 

 

 


婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。

現在募集中のテーマはこちら

アンケート・投稿欄へ