健康問題、ローン返済、物価高騰、親の介護など…50歳を過ぎると、すべてが順調で恵まれた生活を送っている、という人はそうそう多くはないことでしょう。ギャンブルによる借金や三度の離婚といった、つらく苦しい経験をしながらも「たいていの困難はきっと乗り越えられるさ」と語るのは俳優の六角精児さん。その六角さん「ギャンブル依存症のひどいやつを10年くらい続けていた」そうで――。
借金地獄の時代!
いまのところ人生でもっとも苦しかった時期は、実はドラマの「相棒」シリーズが始まったくらいのころなんですよ。
結婚して離婚して子供もいたのに、かなりの借金があってもう借り入れができずにひたすら返済するだけという状況で。
あの厳しい時期があったからこそ、いまの六角精児がいるとさえ思っていますね。
その当時は横浜に住んでいたのだけど、嫁さんと別れて子供の養育費を払いつつ、アパートの家賃も払いつつ、自分の借金も返済しながらの三重苦でした。
わずかな交通費もギリギリだから、都内で撮影が終わったら横浜駅までは列車に乗るけど、そこから関内のもっと向こうまで毎回歩いて帰っていたし。
当たり前だって言われるかもしれないけど、借金は借りるときよりも返すときのほうが圧倒的に大変なんですよ。
借りるときはとにかく気楽だし、限度額がちょっと増えたりしたら、それは貯金が増えたような気分になっちゃう。
でもいよいよ身動きが取れなくなって返すしかないという状況に陥って一切の借り入れができないようになると、これが大変なんですよ。
けれど、そのくらい追い込まれないと借金なんてものはなくならないと思います。
僕がどうにか完済できたのは、めちゃくちゃ苦しくても地道にコツコツと返していた時期があったからなんですよ。
すべて返済したときには周りの景色が違うように見えたものなぁ。