新しい家族の生活をスタートさせるために

この男性と女性がそれぞれ形成していた家族には子どもはいませんでした。

この女性は、自分が結婚する予定の男性に、子どもを自分の子どもとして認知するように求める申立(だけ)を家庭裁判所に行いました。

女性は、出産の1年以上前から前の夫とは別居状態だったので、子どもの父親が前の夫である可能性はないと述べます。また、前の夫とは協議離婚の届を出すときに会って以来音信がないため、親子関係不存在確認の申立をしても応じてもらうことができないと述べています。前の夫とは考え方が違うとともに、自分の考えに誘導しようとする言葉による暴力があったというようにも述べています。

それが実際にどの程度のものであったのかは不明です。もしこのまま「認知」の申立だけで認められるのであれば、相手の男性は進んで認知しようとしているのですから、この後のDNA検査で生物学的に父親と確認されることは間違いがありません。二人はそれぞれの元の配偶者に自分たちの結婚を知られることなく、親子三人の新しい家族の生活をスタートさせることができます。

一般的には、たとえ離婚した後であっても、「認知」の前に、法律的に父親と推定される人がいる場合には、その人――このケースでは女性の元の夫――に対して、女性が「親子関係不存在確認」の申立を行います。または、元の夫に依頼して、「嫡出否認」の申立をしてくれるように依頼します。