鮎川さんいわく、ダブル不倫をきわどくも成就させたカップルの事例が興味深いそうで――(写真提供:Photo AC)
結婚した夫婦の約3組に1組が離婚する日本。また約4組に1組は、夫婦のいずれかが再婚者と、もはや結婚と離婚は切り離せない時代に。一方で家族問題を研究する鮎川潤さんによれば、「離婚などで機能不全に陥った家族と少年犯罪などは密接な関係にあり、その意味でも離婚のあり方について私たちはより知っておくべき」とのこと。その鮎川さんいわく、ダブル不倫をきわどくも成就させたカップルの事例が興味深いそうで――。

「ダブル不倫成就」で子どもの父親は誰に?

〈年齢〉男性:30歳代後半 女性:30歳代前半
〈職業〉男性:会社員    女性:無職
〈子ども〉1人:1歳
〈背景〉2人はダブル不倫
〈経緯〉子どもの出生届は市町村役場に提出されていない。出産後、1年数カ月して、女性から男性に対して認知の申立

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ダブル不倫から、それぞれの(元)配偶者に不倫や出産のことを知られないで離婚と再婚に成功したのではないかと思われるケースです。出産は女性が前夫との婚姻中に行われました。

婚姻中はもとより、離婚後300日以内に出産した子どもは、出生届を市町村役場に出せば、前の夫の子どもとして認定されます。ただし、2022年12月に改正民法が国会で成立し、この法律の施行以降、離婚後に再婚していれば、再婚後に生まれた子どもは、現在の父親の子どもとみなされるようになります。

以前は、女性は離婚して六カ月を経ないと再婚できませんでした。しかし、2015年に、これは憲法違反であるという判決が最高裁判所で出されました。

最高裁判所は、女性に対して再婚まで6カ月の待機期間を設けている民法の条文は憲法第一四条一項「法の下の平等」と、第二四条二項「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」に違反するという判断を下しました。それを受けて、法改正が行われ、離婚した100日後から再婚が可能になりました。

これらの日数は、離婚後に生まれた子どもがどちらの男性の子どもかを見分ける方法として設定されていたものでしたが、さらに2022年12月に国会で民法の改正が成立しました。改正法施行後は、女性は離婚直後に再婚することが可能となります。

しかし、このケースは、前婚の途中で出産していますので、届け出れば、出産当時に結婚していて別居している夫の子どもとみなされます。

そのため、出生届をまだ出していませんでした。1年数カ月間、いわゆる無戸籍のままでした(なお、これは正式には「出生届未了」と呼ばれています)。

実際に父親でもある、再婚予定の男性の子どもとするために、男性の離婚が成立したのを待って、再婚予定の男性に対して自分の子どもとして「認知」してもらうことによって、その男性の子どもとして戸籍に登録されることになります。

はたして、このカップルは、子どもと三人での水入らずの新たな結婚生活を、それぞれの元配偶者に知られることなく出発させることはできるでしょうか。