離婚するのを待って認知の申立を

しかし、嫡出否認を夫にしてもらおうとすれば、夫に自分が不貞をはたらいていたことが分かってしまいます。女性から申立をした場合、通常は夫に照会書が送られます。相手は誰だということになり、直ちに自分と相手の男性が慰謝料請求の対象になりえます。

離婚前に、別の男性の子どもを出産したので離婚してほしいと夫に言ったとすれば、夫は自分の知らない間に妻が不貞をしていて、その相手と勝手に結婚しようなどということは許せないと言って離婚を拒否する可能性もあります。

男性からも「親子関係不存在確認」の申立をすることができますので、前の夫から嫡出否認または親子関係不存在確認の申立がなされて、新たに夫となる男性が認知を行ったとしても、別の女性と婚姻しているこの男性の戸籍に、夫婦の間にできたのではない子どもをこの男性が自分の子どもとして認知したということが記載されます。

女性が離婚したのち、さらに一年以上を経て男性が離婚するのを待って、認知の申立が行われました(写真提供:Photo AC)

そのことに婚姻中の妻が気づけば、同様に慰謝料の申立の対象となったり、この男性が望んでいる離婚を拒否する可能性は十分にあります。そのため、女性が離婚したのち、さらに一年以上を経て男性が離婚するのを待って、認知の申立が行われました。