トウカイテイオーの欠点
ところが、繋の柔らかさや長さには負の側面もある。これも教科書的には、長くて寝すぎた繋は疲労しやすく、屈腱に大きな負荷がかかるとされている。
つまり、歩様の美しさはトウカイテイオーの美点の一つではあるが、欠点でもあったということだ。
その証拠に、トウカイテイオーは日本ダービーを勝った直後に左第3足根骨骨折を負い、長い休養を強いられた。
古馬になって、産経大阪杯で復帰を遂げたと思いきや、次走の天皇賞(春)はメジロマックイーンに惨敗を喫し、レース10日後には右前脚の剝離骨折が判明した。
その後、ジャパンCと翌年の有馬記念でも不死鳥のごとく復活の勝利を飾り、計三度の骨折を乗り越え、競馬ファンに感動を与え続けたトウカイテイオーだが、この馬の強さと同居していた脚元の不安の根源は長くて柔らかい繋にあったと思う。
もちろん、短くて立ちすぎた繋も感心しない。蹄が着地するたびに、反動がダイレクトに球節を突き上げることになるため、球節を傷めてしまうからだ。
トウカイテイオーのそれとは真逆で、歩様にも全く弾力が感じられず、硬い歩き方や走り方になるのである。