多くの大学が生き残りをかけて改革を進めている

その後、神戸海星女子学院大学が2024年から、上智大学短期大学部が2025年からの学生募集停止を発表。業界の厳しい状況を報じるニュースが続いています。

2022年の18歳人口は約112万人で、大学進学者数は約63.5万人でした。

『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(著:倉部史記・若林杏樹/中央公論新社)

2040年には18歳人口が約88万人、大学進学者数は約50.6万人まで減少するというのが国の推計(18年時点)です(*1)。

大学進学率は56.6%から57.4%まで緩やかに上昇することになりますが、現在の大学定員を満たすほどではありません。いま存在する大学が2040年にもすべて存続している可能性は、低いでしょう。

22年度の数字を見ると、入学定員100人未満の大学の定員充足率が平均82.18%であるのに対し、400人以上500人未満の大学では93.57%、1000人以上1500人未満の大学では100.41%、3000人以上の大学で104.07%と、定員規模が大きくなるにつれて定員充足率が上がっていく傾向が読み取れます(日本私立学校振興・共済事業団「私立大学・短期大学等入学志願動向」より)。

これは以前から見られた傾向です。

2022年から40年までの間に減少する大学進学者は12.9万人。(実際にはそんなことはあり得ないと筆者は考えますが)仮に「私大から先に選ばれなくなる」「定員規模の小さな大学から順に選ばれなくなる」という前提で試算すると、これは入学定員800人未満の私大、計430校の総入学定員(13.4万人)に匹敵する数字になります。

同事業団の調査対象である598大学の、実に72%です。

実際には小規模でも定員を充足させている大学が全国に数多くあるわけですから、あくまでもこれは現実味のない机上の空論に過ぎません。多くの受験生が憧れる、入学難易度が高い小規模大学だってあります。

選ばれ続ける小規模大学もあれば、受験生からの支持を失ってゆっくり衰退していく大規模大学だって出てくることでしょう。

あるいは、「中退率が高い」「人口の少ない地域にある」「就職率が低い」「財政状況が危険」など、違う理由で先に危機を迎える大学があるかもしれません。

ただいずれにせよ、すべての大学が今と同じままであることはないでしょう。過度に煽(あお)る意図はありませんが、かと言って12.9万人という数字は過小評価もできません。

だからこそ現在、規模の大小を問わず、多くの大学が生き残りをかけて改革を進めているわけです。

(*1)2040年の大学進学者数は文部科学省「大学への進学者数の将来推計について」(2018年2月)より