労働の実態は学校法人によって千差万別

これと同様に、同じ大学に勤める職員でもいま50代の方にとってはホワイトだが、20代の方にとってはグレーなんてケースは珍しくないはずです。

学校法人によって本当に労働の実態は千差万別です。ボーナスがほとんど出ない大学、サービス残業が常態化している大学、休日出勤しても振替休日が取れない大学、出産した女性職員が冷遇される大学、男性の育児休暇が快く思われない大学、人事評価制度で昇給する人が極めて少ない大学、教職員から法人が訴えられている大学……すべて現実に存在します。

『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』(著:倉部史記・若林杏樹/中央公論新社)

強権的なトップダウン経営のもと、健全な議論ができない状態になっているような法人もあります。経営立て直しで注目を集める大学には、人件費抑制策による労働環境の悪化が隠れていることもあります。

素晴らしい教育成果を支えているのが、献身的な教職員たちによる時間外労働なんてことも。それらすべてが悪いとは限りませんが、大学なのだからきっと楽なはずだという思い込みは危険です。