倉部先生は大学職員について「うつなど、メンタルの調子を崩して休職・退職に至るケースもあります」と言いますが――<『大学職員のリアル-18歳人口激減で「人気職」はどうなる?』より>
大学で事務を行う「大学職員」は人気の職業であり、「年収1000万円以上で仕事も楽」という噂を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。「その内情は当然ながら、実に多種多様です」と語るのは、元大学職員で追手門学院大学客員教授の倉部史記先生。その倉部先生は大学職員について「うつなど、メンタルの調子を崩して休職・退職に至るケースもあります」と言いますが――。

「楽な仕事」は本当?

給与の数字だけ見れば、大企業に就職したほうが稼げるかもしれない。でも大学職員は、まったりとした楽な仕事で高給だからおトクなのだ……そんな記述も、ウェブ上ではしばしば見かけます。

転職情報サイトなどで在職者が投稿されている口コミなどにもこうした表現はしばしば登場するため、「楽」と感じている方が一定数いらっしゃることは事実なのでしょう。ただ、何をもって「楽」とするかは人それぞれ。

仮に「離職率1%」という組織があったとしましょう。世間的に言えばかなりホワイトな職場と言えそうですが、誰も辞めない背景に「がんばらなくてもこれまでは年功序列で自動的に待遇が上がっていったから」という理由があったとしたら、大きく成長できる環境を求める若者にとっては、不安を感じる職場かもしれません。

年功序列、終身雇用の人事システムを維持する従来型の日本企業では、若いうちは会社への貢献を求められるのに給与水準は低い、でもある年代を超えると給与水準が上昇して、若いときの苦労に見合う報酬を回収できる……という仕組みが広く採用されてきました。

しかし日本経済の低迷もあり、長く勤め続けても自分の世代は思ったほど給与が上がらないのでは、と気づいた若手が辞めていくケースが増えているようです。