スコア文化が衰退していった理由

原因はいくつかあるが、大きくは、スコアラーたちが、あまりにもゲームにストイックになりすぎてしまったことではないだろうか。

例えば、知らない人間が全1(全国1位)になると、ゲーセンまで行ってそのプレイヤーに目の前でのプレイを強要したり、店に電話をかけて真偽を問い詰めたり……そういう話を聞いていた僕は、スコアラーの集まっている店には怖くて行けなかった。

『ゲーセン戦記-ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀』(著:池田稔・ナカガワヒロユキ/中央公論新社)

スコアの世界がハードコアになっていくにつれて、一部の人たちの過激な行動が目立ち始めたのだ。もちろん全員がそうではないけれど、スコア文化は武道のように洗練される方向を望んだ部分がある。

とはいえ、2023年現在も、元『ゲーメスト』『アルカディア』の編集者やライターが立ち上げた「日本ハイスコア協会」が存在し、スコア文化はまだ死んではいない。

インターネットのゲーム文化から生まれた、クリアまでの最速タイムを競うRTA(リアルタイムアタック)なども広義のスコア文化と言えなくはない。なにかのきっかけで、新たなスコア文化が盛り上がる可能性も、まだ残っている。

こうして、1990年代に入ると、シューティングゲーム=スコア文化に代わるものが現れる。それが対戦格闘ゲームだ。