なぜ「歴史は変わる」のか

ではなぜ、「歴史は変わる」のか。それは、発掘調査や史料の発見、研究者たちの新説などを踏まえて教科書も改訂されるからです。

古い時代に関しては、新たな遺跡や出土品の発見、その分析結果などによって、歴史が大幅に書き換えられることも少なくありません。

たとえば、かつては農耕が始まったのは弥生時代と言われていましたが、実は縄文時代にすでに農耕が始まっていたことがわかってきました。また、竪穴住居の屋根が草葺きでなく土葺きであること、巨大な竪穴住居は集合住宅であることが判明。平地住居や高床住居も確認されています。

発掘によって定説が変わった例が、「日本最古の貨幣」です。

読者のみなさんはたぶん、708年に鋳造・発行されたと推定される「和同開珎」が日本最古の貨幣と習ったのではないでしょうか。しかし1999年に奈良県明日香村で「富本」という文字の入った銅銭、「富本銭」が約40枚発見されました。その後もかなりの数が発掘され、和同開珎以前の683年ころにつくられたと推定されました。

日記や手紙など、新たな一次史料(当事者が遺した文書)の発見により、新説が登場することも。また、研究者によって新しい解釈が提示されることもありますが、そうした解釈に多くの学者が賛成すると、それが定説や通説になり、場合によっては教科書にも反映されるわけです。