「お泊まりサブスク」サービス
お試し移住で、すっかり箱根に心が奪われてしまった訳ですが、よくよく考えれば、全国の市町村が、大都市圏からの移住者大歓迎です。それぞれに「お試し移住」制度がありますが、行政の制度はふつう、そんなにタイミングよく使えません。では自主的に「お試し」をするにはどうするか。そんな時は民間の「お泊まりサブスク」サービスが頼りになります。
コロナ後、激減した外国人観光客を補うため、一部のホテルが「お泊まりサブスク」を始めました。定額を払えば、空いているホテルに泊まり放題というシステムです。リモートワークでワーケーションが出来る人口が増えたことを背景に、コロナが収束した今も、「お泊まりサブスク」サービスは広がっています。中には多拠点居住に利用できると謳うサービスもあります。
例えば東急は、「旅するように暮らす」とのキャッチコピーで、サービス「TsugiTsugi (ツギツギ)〈1〉」の本格的な始動を、今年5月に発表しました。東急グループのホテルなど全国110施設で、月2泊2万3980円(日曜~木曜限定)から、30連泊29万9800円のコースまで。すでに会員は約2万人いるとのこと。30連泊とは、まさに「ホテル住まい」です。そこまでのヘビーユーザーでなくても、例えば月に数日、リモートで仕事をしながら、気に入った場所のホテルを転々と泊まり歩くのには重宝でしょう。ほかにも、「旅のサブスク」と題して、月額9800円からコイン制で国内外のホテルに泊まれる「HafH (ハフ)〈2〉」、全国800以上のホテルやマンスリーマンションが、月額6万9800円から利用できる「goodroom サブスくらし〈3〉」などもあります。
「unito (ユニット)〈4〉」というサービスは、自分が泊まらない日はホテルとして貸し出す(リレント・転貸)することで月額利用料を抑えられる仕組みです。例えば、出社する平日だけ都心に住み、週末は郊外の実家に戻ったり、旅行先で過ごしたり、といった使い方を想定しているようです。提携先にはホテル、マンスリーマンション、サービスアパートメント、シェアハウスがあり、家具・家電完備で身一つで滞在できる部屋や、住民票を置くことができる施設もあるとのこと。例えば、神楽坂徒歩5分の家具家電付きアパートメントハウスは、月15日利用なら15万4000円、毎日利用なら月22万9000円、新橋5分で住民票も置けるホテルは月15日利用で9万3000円、毎日利用なら月15万3000円、といった具合。物件の立地や広さ、設備、利用日数によって金額が変わります。
また、「ADDress(アドレス)〈5〉」は、「多拠点居住」を掲げる「お泊まりサブスク」サービスです。全国250ヵ所の拠点には、シェアハウスやホテル、ゲストハウス以外にも、一般の戸建て住宅やマンションも含まれ、月2泊9800円から30泊9万9800円まで。どの拠点でも空きがあれば選び放題で、会員は空き状況と自分の都合で次に泊まる場所を決めます。こちらも、拠点によっては住民票を置くこともできます。ただし宿泊業ではなく、超短期賃貸なので、掃除やベッドカバーやシーツ類の交換は利用者がする必要があります。それでも、若者を中心に人気とのことです。
〈1〉https://tsugitsugi.com/
〈2〉https://www.hafh.com/
〈3〉https://livingpass.goodrooms.jp/
〈4〉https://unito.life/?unito_listing_header
〈5〉https://address.love/