「アドレスホッパー」

これらの「お泊まりサブスク」の良いところは、いずれも、特定の部屋を賃貸借契約で借りる訳ではないので、敷金礼金が要らないところです。ただし、部屋を専有使用する定住とは違って私物の持ち込みはできません(一部で可能なところもありますが、品数や保管法に決まりがあります)。でも、そのぶん、賃貸物件と違って審査も要りません。高齢とか単身とかフリーランスとか、年齢や属性、職業を理由に、宿泊を拒否されることはありません。

お泊まりサブスクであれば、泊まる期間の料金さえ払えば、こちらは客です。賃貸マンションを借りるより、割高ですが、気楽に「住む」ことができます(好立地の高い賃貸マンションを借りるくらいなら、安いお泊まりサブスクの連泊プランを使う、または高い部屋を数日だけ契約して借りるほうがお得かもしれません)。ホテルなら部屋の掃除もしてもらえるし、ルームサービスで食事を頼むこともできます。実際、かつては映画評論家の淀川長治や作詞家の岩谷時子は、帝国ホテルに住んでいました。

背景には、最近の若者が「所有からシェアへ」で、自分の場所やモノを所有することへの執着が薄いこともあるでしょう。住む場所をわざわざ1ヵ所に定めることや、その家を購入することに興味を持たない(高すぎて買えないという事情もあるでしょうが)人も多いようです。

また、極力ものを持たない生き方、ミニマリストも増えているようです。拠点を定めずに住所を転々としつづける「アドレスホッパー」と呼ばれる暮らし方をする人もいるといいます。これなら、年齢制限で家を借りられなくなるという悩みや心配からは解放されます。

写真提供◎photoAC

ということで、アドレスホッパーはどんなふうに暮らしているのでしょうか、何歳くらいまでホッピングでやっていけるものなのでしょうか。実際に、ある「お泊まりサブスク」の会員になって利用してみて、行き会う人たちに話を聞いてみました。果たして?