石神さん「婚活はいわゆるカーストの壁をいともかんたんに乗り越えてしまった」(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
晩婚化が社会問題となるなか、婚活のためのマッチングアプリが普及し、「アプリで出会って結婚した」という声も聞こえるようになりました。約30年にわたり、あらゆる婚活にトライしてきた婚活ジャーナリストの石神賢介さんは、婚活そのものを楽しみ、婚活から抜け出せなくなる「婚活中毒」の危険性を訴えています。その石神さん「婚活はいわゆるカーストの壁をいともかんたんに乗り越えてしまった」と言っていて――。

無縁だった業種や職種との遭遇

婚活アプリは社会の縮図だと思う。コロナ禍以降、職を失う人、経済的に困窮する人が激増していることが婚活でリアルにわかった。

筆者も含めほとんどの人は、偏った社会、偏った人間関係で生活している。組織に勤めていたら、自分が属する会社や職場の人とばかり会う。仲がよかろうが、よくなかろうが、同じ組織の人とともに働き、食事もするだろう。それがその人の社会だ。

銀行員のまわりは銀行員ばかりだし、教員のまわりは教員と生徒ばかりだし、学生ならば同じ学校の生徒ばかりだ。

富裕層のまわりは富裕層が多い。貧しい人のまわりは貧しい人が多い。だから、よほど想像力が豊かでなければ、富裕層は貧しい人の生活や考えていることを理解できない。一方、貧しい人も富裕層の生活や考えは理解できない。接触する機会がないからだ。

恥ずかしいことだが、取材をしたり原稿を書いたりしていると、毎日出勤して堅実に働いている人たちの考えはなかなか理解できない。どんなものを食べ、どんな楽しみがあり、どんな映画を観て音楽を聴いているのか、よほど想像力を働かせなくてはわからない。堅実な会社員との接触が少ないからだ。

生活のなかで筆者が会うのは、出版社の編集者やフォトグラファーやデザイナーなど、社会的に少数派の人たちだ。このような人たちが堅実でないとは思ってはいない。しかし、会社員と比較すると自由度は高い。ただし、組織にきっちりと守られていないケースが多く、リスクも大きそうだ。少数派と時間を共有し、会話して、それが今の社会だと思い込んでいる。でも、それはきわめて限定的な環境でしかない。

ところが婚活によって、ふだん接触しない異業種・異職種の人たちと交流した。