一生自分の足で歩くために、筋トレや有酸素運動を日課にしている人も多いのでは? 実は、激しい運動をしなくても、足指の歪みを正すだけで、丈夫な足腰をつくることができるのだとか──みらいクリニック院長の今井一彰さんに聞きました。(構成=島田ゆかり イラスト=ラジカル鈴木)

足指が縮こまっていることの弊害は

私は内科医ですが、クリニックに来る患者さんの多くが、「ひざや足腰に痛みがある」と訴えます。私自身も若い頃にひざを壊し、足腰の重要性を痛感して治療法をずっと研究してきました。その結果「足の指」にたどり着いたのです。

日本人の多くは、足指がギュッと縮こまった「かがみ指」になっています。原因は、合わない靴や靴下、ストッキングをはく習慣です。先日足の調査のためミャンマーに行きましたが、裸足で暮らしている彼らの足指は、全員すっと伸びていました。

足指が縮こまっていることの弊害は、体を支える足裏の接地面積が少ないこと。土台に安定感がないため、体の節々に負担がかかり、痛みが出るのです。また、内反小趾をご存じでしょうか。外反母趾は親指の付け根が外側に曲がる変形ですが、内反小趾は小指が内側に曲がり、時に痛みや指の腫れが出る変形。実は、小指の崩れが全身の不調につながっているのです。私の考案した「ゆびのば体操」は、足指を伸ばし、小指を整えて正しい接地面に戻すことを目的としています。

足指ゆがみチェック

 

健康寿命を延ばすのは、運動よりも足指伸ばし

ゆびのば体操を習慣にしていただくと、体の土台が安定するだけでなく、足指の関節が正しく使われるようになるので、全身の筋肉も正しく使えるようになります。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、歩くことはふくらはぎの筋肉を動かすことと言われていますが、ゆびのば体操をした後に歩くと、ふくらはぎが筋肉痛になります。つまり、今までは歩いてもふくらはぎがあまり使われていなかったということです。血流も末端まで促進されるので、冷えやむくみ、下肢静脈瘤も改善します。