評価が良い悪いに分かれる理由
本作品の舞台は太平洋戦争。空襲の火災で母を失った牧眞人(まき・まひと)が、父と共に疎開した田舎で、父の子を妊娠した母の妹である夏子と新しい暮らしを始めます。眞人は夏子のことを新しい母だと認めることができません。お手伝いのキリコとも「夏子おばさん」とも距離を置く複雑な家庭環境からはじまります。
本作品の評価が割れる理由は、前半と後半が違うことや、隠喩が多いことなどがありますが、SNS界隈を眺めていると「つまらないと思う人」にはある特徴があるようです。
◆「つまらない映画」と言う人の特徴
1:エンタメ性の強い宮崎監督の過去作品を念頭に、この作品を観ている
本作品は、明確に答えが用意されていない映画です。宮崎監督の脳内の深い部分にある「無意識の意識」を描いたもので、そもそも従来の娯楽映画ではない、遺作アニメだからです。それは試写会での宮崎監督のメッセージにも書かれています。
◆面白かったと言う人の特徴
1:「観る」より「感じよう」として作品を見ている。それは無意識の場合が多い。
2:エンタメ映画というより遺作として観ている
そもそも本作品を映画というより「宮崎監督の遺作」として受け止めている方は、面白いと感じるようです。映画をエンタメとして消費するより「宮崎監督は何を伝えたかったのだろうか?」を感じたい。監督の想いが受け止められれば、満足感が高いのも頷けます。