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健康の要は免疫力。それを底上げするのは野菜や果物に含まれる「ファイトケミカル」という機能性成分です。野菜の栄養を最大限に引き出してくれるスープのパワーとは? 医師の高橋弘さんに聞きました。(構成=島田ゆかり)

4種の野菜を鍋に入れ、水を加えて煮るだけ

このスープが誕生したのはがん患者のご家族からの「何を食べさせればいいのでしょうか」という相談がきっかけでした。私は当時、ハーバード大学医学部で内科の准教授の職にありました。1990年にアメリカ国立がん研究所が、がんの予防に効果があるという約40種の食品「デザイナーフーズ・リスト」を発表。これらの食品は抗酸化作用が高く、免疫力を高める「ファイトケミカル」が豊富に含まれている食品群です。

ファイトケミカルとは、病気予防をサポートする天然の機能性成分のことで、野菜や果物の香り、苦味、辛味などに含まれます。デザイナーフーズ・リストはがん予防の効果が高いほど上位に示されます。最上位にはにんにく、キャベツなどがあります。私は、このデザイナーフーズを活用し、「日本で、季節を問わず、手軽に手に入れられる野菜」でつくることができるスープを考案しました。それが、いのちの野菜スープ(ファイトケミカルスープ)です。

材料はたった4種の野菜のみ。リストの最上位に入っているキャベツとにんじん、玉ねぎ。そして、デザイナーフーズには入っていませんが、強い抗酸化作用のあるβ-カロテンが豊富に含まれるかぼちゃを採用。これを100gずつ鍋に入れ、水を加えて煮るだけで完成します。調味料は何も入れません。

この野菜スープを食べるのを習慣化した方々は、たちまち元気になったと喜ばれたのです。

 

いのちの野菜スープのつくり方

●材料
キャベツ……100g
玉ねぎ……100g
にんじん(皮つき)……100g
かぼちゃ(皮つき)……100g
水……約1L(野菜が浸かる量)

●作り方
1. キャベツは芯ごとひと口大に切る
2. 玉ねぎは皮をむき、にんじんはヘタを切り落として皮ごと、かぼちゃは種とわたを除いて、皮ごとひと口大に切る
3. 玉ねぎの皮、にんじんのヘタ、かぼちゃの種とわたをだし袋に入れる
4. 鍋にかぼちゃ以外の野菜を入れ、ひたひたになるまで水を加え、だし袋も入れる
5. ふたをして弱火で10分煮込み、かぼちゃを加えてさらに10分煮る
6. だし袋を取り出し、完成