長年、音楽業界で活躍する湯川れい子さんと、2022年から大学理事長という肩書が増えた作家の林真理子さんは旧知の仲。数々の「初めの一歩」を積み重ねてきた二人は、成熟した人生後半においても軽やかで(構成=篠藤ゆり 撮影=宮崎貢司)
「女で初めて」と言われ続けて
林 湯川さんは私が子どもの頃から、音楽評論家、作詞家として活躍する《レジェンド》。20年ほど前に初めてお会いした際はドキドキしましたが、気さくで、愉快で、包容力があって。女性でリーダーシップを取る方はこういう感じなんだと思いました。
湯川 リーダーシップなんて考えたこともないけど。ただ、私が音楽関係の仕事を始めた頃は、現場の99%は男性。セクハラも日常茶飯事だったし、女性に場所を取られないよう、男の人たちが束になってかかってくる。だから、いかにして数少ない女性を味方につけて、男の人にはにっこり笑ってバッサリ切るか……ということばかりを考えてきたので、女友達にはとても恵まれました。
林 レコード大賞の審査委員長を務めたり、いわば業界のトップにまでなられたわけでしょう。
湯川 何をやっても、「女で初めて」とか言われましたね。
林 戦後の黎明期から、けっこういろんなことがありそうな世界で、よくぞそこまで……。
湯川 私は常にフェアに公開することを大事にしてきたので、それもよかったのかな、と。林さんこそ、昨年、女性初の日本大学理事長になられて。重責をともなう大きな挑戦なのでは?