世界の女性ジョッキーと交流して
スウェーデンでのワールドカップ優勝は嬉しかったです。JRA所属の女性騎手は私ひとり、地方競馬とばんえい競馬を入れても、現在7人。女性とレースで一緒に走る機会はほとんどないので、その点でも、海外の女性ジョッキーの方たちと交流できたのは貴重な経験でした。
驚いたのは、競馬に関わる女性たちが多いこと。イギリス発祥ということもあってヨーロッパは競馬が盛んです。その中で、スウェーデンは競馬がポピュラーとはいえない国なのですが、それでも女性ジョッキーはたくさんいましたし、私が見ただけでも、馬の調教をする人の半分以上が女性でした。
日本では、厩舎で馬の世話をする人、調教する人、騎手を含めて、競馬に関わる人の99パーセントが男性なので、とても新鮮。
とはいえ、競馬に性別は関係ない。ルールも男女同じです。「女性だから」というのは、私自身も意識したことはありません。一つひとつのレースで勝つことを目指すのみ、です。
レースは18頭が走って、勝つのは1頭だけ。悔しい思いをすることのほうが多いですけど、勝ったときはもちろん、負けたときも、「ああ、ジョッキーになってよかった」と毎回、実感しています。
挫折しかけたこともあったけれど
ジョッキーという仕事に憧れを持ったのは小学校高学年のとき。小さい頃から動物が好きでしたが、たまたまテレビで競馬中継を観て、馬と一体となって走るジョッキーの姿に「カッコいいなあ」と思ったんです。それで、両親に頼んで、私の住む茨城県内にある美浦トレーニングセンターの「乗馬苑」に通うようになりました。
中学2年生で本格的にジョッキーを目指すと決め、週5日、乗馬苑に通いました。両親は私が「ジョッキーになりたい」と言ったときから、ずっと応援してくれるありがたい存在。反対されたことは一度もありません。
中学3年生で迷うことなく競馬学校を受験。両親も賛成してくれました。153人中、合格したのは私を含め7人です。全寮制の競馬学校で女子は私ひとり。基本的に、練習メニューは男女同じです。授業は厳しく、フィジカルトレーニングでは、男の子が普通にできることが自分にできなかったりして、悔しいと思ったことは何度もあります。「自分はジョッキーになれないのでは」と挫折しかけたこともありました。しかし、そのたびに両親や先生から励まされ、前に進むことができたのです。
それだけに、卒業して子どもの頃から憧れていたジョッキーになれたときは喜びでいっぱいでした。