たまの休みの日は、仕事が屋外競技なので、反動で部屋にいることが多いでしょうか。読書が好きで、湊かなえさんや伊坂幸太郎さんの作品などを読んでゆっくり過ごします。騎手は、レースの前日の金曜日から月曜日までは、不正を防ぐために調整ルームという部屋に入り、外部との連絡が取れなくなります。携帯電話も持ち込めないので、そういうときにも本を読んだりしますね。特にミステリー小説が好きです。

環境的に、ほぼ男性の世界ですが、だからといって、常にジャージ姿というわけではありませんよ。オフの日は私もスカートをはいたり、ワンピースも着ます。お洋服が好きだし、ファッションを変えると気分が変わって、いい息抜きにもなるんです。

 

子育てするみたいに馬に接して

ジョッキーの仕事というと、レースで騎乗するイメージが強いですが、実はレースまでの準備が大切なんです。

レースでは、馬主さんや厩舎から「この馬に乗ってください」と頼まれて騎乗します。乗らせていただく馬が決まった段階で、その馬のことをしっかり研究するんです。過去のレース映像を見るのはもちろんのこと、前に乗っていたジョッキーに「どんな馬ですか」と聞きに行きますし、普段、その馬の世話をしている方、調教をしている方にも、「どういう癖があるか」ということを必ず確認します。

馬によって性格もいろいろ。走り方も違います。どれほど能力があっても、馬自身がその気になってくれなければ速く走れない。馬の性格や気持ちを見極めながら、そのあたりをうまくコントロールするのが騎手の仕事だと思っています。

当たり前のことですが、馬は人間の言葉がわかりません。それでも、暴れているときなら、何かを怖がっているのか、それともふざけているだけなのか、そこを見極めて対処しなくてはなりません。ふざけているだけなら、しっかり怒ることも必要です。できるだけ馬のことをわかってあげたい……。まるで子育てみたいですね。(笑)