デビューは2016年3月3日のひな祭りの日。16年ぶりのJRA所属の女性騎手ということでマスコミの取材が殺到し、想像以上に注目を浴びてしまって……。ありがたいと思う一方で、まだ実績がないのに、とずいぶん戸惑ったものです。 プレッシャーはありましたけれど、「注目に見合うような実力をつけていこう」と、自分を鼓舞しました。
ジョッキーになってから、競馬場で同期の仲間に会うこともあります。レースで馬に乗れば、同期も先輩、後輩も関係ない。全員がライバルです。でも、馬を下りれば「同期」としての親しみがわいてくる。学校時代は、誰もがジョッキーになりたくて一所懸命。負けず嫌いな私も必死で、気持ちに余裕がなくて……。当時は、「あいつらには負けないぞ」という気持ちが常にメラメラとあって、かなりトガっていましたね。(笑)
でも、今では同期の子が勝つと、「おめでとう!」と素直に言える。競馬学校時代のギスギスした感じはなく(笑)、切磋琢磨する、大切な仲間だと感じています。
たまの休みは読書でリフレッシュ
中央競馬は毎週土日にレースがあります。私は現在、競馬学校時代からお世話になっている根本康広先生の厩舎に所属し、普段は美浦の独身寮で暮らしています。レースのない平日の火曜から金曜までは朝4時に起きて、午前中は馬の調教、午後はトレーニングセンター内にある各厩舎をまわります。
なので、月曜日がお休みということになっているのですが、地方交流といって地方競馬場に騎乗しに行くことも多く、休日は月に4日あるかどうか。
競馬にはシーズンオフというものがなく、年末年始も、レース自体は年明けの土曜日からですが、年末は31日まで、年明けは2日から調教があり、1日しか休めません。
また1月は、成人の日である第2月曜日もレースがあります。二十歳で迎えた昨年の成人の日、私はレースに出ていて、成人式には出席できませんでした。その代わり、記念に、着物を着て写真だけ撮りました。
実家はトレーニングセンターからもそんなに遠くはないのですが、休みが少ないし、今は用事があるときくらいしか帰らないですね。平日は、調教後に時間があれば、仲のいい厩務員さんや馬の世話をする方とご飯に行ったりします。根本厩舎の厩務員さんは私よりもうんと年上、50代から60代くらいの方が多いのですが、デビュー時はもとより、今もみなさんからいろいろ教わり、助けられています。