セルフレジにも臆さず挑戦を!

何かを始めるのが億劫だと感じるようになるのも、実は脳の機能の影響かもしれません。

目標を達成したり褒められたりした時に、私たちの脳では快楽物質であるドーパミンという神経伝達物質が分泌されます。

ドーパミンは、特に「初めての体験」をした際に多く分泌されるため、まだ人生経験の少ない子どものほうが活発に生じる。ただ、さまざまな経験を積むうちに「知ってる」「前に体験した」ということが増えていく。そうすると「どうせこうなるだろう」という予測ができるようになり、前頭葉にその思考法が習慣として刷り込まれ、新鮮な驚きを感じにくくなっていくのです。

しかし、よくよく周りを見わたしてみれば、同じことのように見えて、実は世の中には自分が経験していないことがまだまだあるはずです。たとえば近所に新しくオープンしたカフェに寄ってコーヒーを飲む。テレビで紹介されていた家事のコツを試す。読んだことのない本を読んでみる。このように、すでに経験していることでも、ちょっとバリエーションをつけてみるだけで、脳への刺激となり、新しい感情を生むのです。

最近増えている、セルフレジやキャッシュレス決済など使い慣れないテクノロジーも、臆さず利用してみてはいかがでしょうか。一つできるようになれば、「次はスマホでタクシーを呼んでみよう」など、自信にもつながるはず。もしうまくできなくても、「難しくて無理!」と投げ出さないことが重要です。

たとえば、海外からの観光客が日本のセルフレジを使うと最初は苦労することもあるでしょう。それと同じように、どんな年齢だろうと、人はみな未知の体験にはとまどうもの。それでも一度で諦めず挑み続けることが、脳を若々しく保つ秘訣です。

恋愛も脳に良い刺激が加わるものの一つ。相手が違えば、それはもうまったく新しい体験と言えます。知人から聞いた、僕の大好きな話があるのですが、高齢者施設に入居する80代の男性をめぐって、70代の女性2人が争っていたそう。そこへある日90代の女性が入居してきたら、なんと彼女が80代の彼の心を射止めてしまった。講演会で話すと必ず盛り上がるエピソードです。