腕を磨くことだけに没頭した
事務所では、年に2回の「東京コレクション」のヘアメイクを担当することになっていました。そのファッションショーに携わることによって、「世界中から集まるスーパーモデルとは……」「一流のモデルとは……」ということを学びました。
ただ洋服をきれいに見せるだけでなく、デザイナーの作った洋服をよりよく見せられる人が、スーパーモデルなのだと。ターンしたときに、コートをドレスのように見せられる、その見せ方の秀逸さには驚くばかり。
自分にとって大きな勉強になったことはいうまでもありません。
仕事も、普通は3年くらい先生や先輩たちのアシスタントをするのですが、私は半年後に現場を任されるようになりました。
実力本位の世界で生き抜いていくには、とにかくがんばるのみ。「絶対に人には負けない!」と自分を奮い立たせ、腕を磨くことだけに没頭しました。
転機は、『美しいキモノ』などの女性誌で、和装の女優さんたちのヘアメイクを担当するようになったこと。多くの女優さんや編集者の呼び声が高くなり、“女優メイク=IKKO”として一般にも広く知られるようになりました。