清水さん「実際、筆者も物書きとして、GPT-4という生成系AIに大いにお世話になっています」(写真提供:Photo AC)
2022年に文章生成AIである「ChatGPT」や画像生成AIの「Stable Diffusion」など、一般ユーザーが気軽に使える生成AIサービスが次々と現れました。生成AIサービスについて「その特性を正しく知って使えば、生活やビジネスの効率が大幅に上がるのは確実である」と語るのは、人工知能研究の第一人者である清水亮さん。清水さん「実際、筆者も物書きとして、GPT-4という生成系AIに大いにお世話になっています」と言っていて――。

2022年に起こった地殻変動

生成系AIは、人工知能の一種で、自動的に新しいデータやコンテンツを生成することができる技術です。

AIによって生成されるデータは、文章、画像、音楽、動画、3Dモデルなど多岐にわたります。専門的に言うと、生成系AIは機械学習の一分野であり、ディープラーニング、強化学習、転移学習、教師あり学習……なんていう難しそうな技術をフル活用して、データの生成を行います。

最大の特徴は、クリエイティブなデータ、つまり創造的なデータの生成に用いることができる点です。想定されるユーザーは作家、芸術家、音楽家、映画監督、デザイナーなどで、クリエイティブな分野において創造性を高めるための強力なツールとして注目されています。実際、筆者も物書きとして、GPT-4という生成系AIに大いにお世話になっています。

また、生成系AIはビジネスや教育、研究などの分野でも活用され、データ解析や知識生成に役立つのではないかという期待も寄せられています。さまざまな分野での活用が模索され、その応用範囲は広がる一方です。

日本で生成系AIが話題になったのは、2022年の中頃、文章から画像を生成する画像生成AIが相次いでリリースされたときのことです。

同年4月、OpenAIの画像生成AIであるDALL・E(ダーリー) 2が一部のユーザーに向けて開放されると、次いで7月にMidjourney(ミッドジャーニー)のブームが到来。ただし、DALL・E 2もMidjourneyもかなり高価なサービスでした。

ところが8月には、Stable Diffusion(ステイブル・ディフュージョン)というオープンソースで無料、そしてなんと商用利用可能なモデルが公開され、爆発的にブームに火がつきます。

それまでごく一部の限られた人たちだけが享受していた生成系AIの恩恵を、ある日突然、誰もが受けられるようになったのです。

これを革命と呼ぶ人もいますが、筆者はこれを「AIの民主化」だととらえています。