ニュアンスが違う方言は冷めてしまう

僕にとって一番ハードルが高かったのは「弘前弁」でした。京都出身なので、方言には気を遣います。ニュアンスや発音の違う方言を使われると、演技どうのこうのより一気に冷めてしまいますから。数ヵ月前から弘前弁の指導を受けました。

東京でもレッスンをしていただき、テープにも吹き込んでもらって聞き込むことで特訓します。方言指導の先生が結構厳しくて、現場では僕の後ろにピターッとついていらして見守ってくださいました。

離れていても、間違うや否やサッとこちらにいらっしゃるので、その方が立ち上がる気配で「あ、間違ったな」とわかる。今はまず演技の流れを一人で確認しているだけなので…というところでもサッと割って入ってきて教えてくださる。

向こうは向こうで「ここは自分の仕事だ!」と真剣勝負されていたので、僕にとってはハードな現場になりました(笑)。台詞以外の日常会話もできるくらいになりたいと思っていましたが、方言を習得するって終わりがないんです。

途中で何が正解だかわからなくなり、頭がパンパンで放り出してしまった1週間もありました。

(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会