「一億総中流」の意識はもはや過去のもの

平等になるどころか、権力が集中する共産党幹部がぜいたくな暮らしをするようになり、格差が固定化。労働者は同一賃金であるためやる気をなくし、経済は低迷しました。

一方、日本は資本主義国なのに、社会主義国のように5カ年計画を立てて経済活動を行なってきました。国の規制が強く、自由競争とは言えないという意味でも多分に社会主義的です。

こうした状態でも労働者は夜遅くまで喜んで働き、経済発展を実現することができました。そして、ほとんどの人が「自分は中流」だと意識できるような平等で豊かな社会を作り上げることができたのです。

ソ連が失敗した社会主義が日本で成功をおさめている。この状態をゴルバチョフは「成功した社会主義国」と皮肉ったのです。

もっとも、日本経済もバブル崩壊後はふるいません。格差が拡大し、「一億総中流」の意識も過去のものとなりました。

一時的には「成功した社会主義国」に思えましたが、最終的にはこちらも崩壊したと言えるかもしれません。

※本稿は、『池上彰の日本現代史集中講義』(祥伝社)の一部を再編集したものです。


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