100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第55回は「恐怖の電話当番」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
「恐怖の電話当番」
時代と共になくなったお仕事があります。
それは「電話当番」です。
その昔、携帯電話がそこまで普及していなかった時代のお話です。
稽古や公演で劇団に出勤すれば、外部との連絡の手段は電話でした。
まだ携帯電話もなく、今のようにメールやLINEなどという便利なツールはありません。
楽屋にある緑の公衆電話だけが、外部との連絡手段でした。
楽屋の緑の公衆電話が鳴ると、下級生が出て取り継ぐという決まりがありました。
それが、電話当番です。
実家にいる時から電話対応は苦手でした。
そもそも人と接すること自体が苦手だったので、誰からだかわからない電話に出るのも
知らない人と話すのも苦手でした。
電話当番は、入団1年目の生徒に、2人1組で順番で回ってきます。
鳴らないで欲しいなーと思ってると鳴るもので、
ワンコールで出るのが鉄則です。