「延命措置の有無は、書き記しておくことが重要」(看護師)

緩和ケア病棟などで、多くの人の最期に立ち会ってきました。そうした経験から、「命の終わりは誰にでも必ず来るもの。だからこそ、本人も周りの人もどこかの時点で受け入れなければ先に進めない」と感じています。

以前、担当していた末期がんの女性が、夫に「抗がん剤はつらいからもうやめたい」と訴えたことがありました。夫は妻が死ぬことに納得できず、「絶対に治療を続けてくれ」と譲らない。

患者さんは死を覚悟し、最後の日々を少しでも穏やかに過ごしたいと願い、勇気を出して伝えたはずです。けれど、家族から「生きてほしい」と言われた時の気持ちはいかばかりだったか……。

目の前で弱っていく家族の姿を見たら、「治ってほしい」「死なないでほしい」と奇跡を願うのは自然なこと。しかし、時間には限りがあります。

だからこそ、いざという時に慌てず、本人も家族も納得して判断が下せるよう、「治る見込みのない病気になった時、余命をどこで過ごしたいか。治療をどうするか」を元気なうちから家族で話し合っておいていただきたいと思うのです。

特に延命措置の有無については、家族や周りの人に希望を伝える、書き記しておくことが重要だと思っています。

それがないと、意識が戻らない状態になった時、家族の誰かが判断を下さざるをえなくなる。それは、とても酷なことではないでしょうか。決断を迫られて苦悩するご家族の姿を何度も見てきたからこそ、そう思うのです。

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