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日本の統合失調症の患者数は80万人ともいわれ、人口の0.7%、100人に1人弱いると言われています。原因はよくわかっておらず、仕事や人間関係のストレスや、人生の大きな転機などでストレスや緊張が増したとき、発症するのではと考えられています。統合失調症を患う人を抱えた家族の苦悩とは…

後編 統合失調症の兄が認知症を発症、途方にくれた私に救世主が現れた。死期が近づいた兄は「おまえは俺の妹だ。可愛いよ」と言った はこちら

兄が亡くなり「良かったわね」と言われた

兄が亡くなったことを知人たちに知らせた時、「良かったわね」と言う人たちがいた。普通では言えない言葉だが、兄の精神状態がひどい時のことを知っている人たちだった。「お兄さんのために、あなたは人生を無駄にした」と同情もされた。

兄は私よりも4歳年上で、4年前に70歳で亡くなった。

兄は妄想や幻覚のある統合失調症を約40年患っていた。

統合失調症は100人に1人の割合で発症すると言われていて、それほど珍しい病気ではない。現在は薬がいろいろ開発され、社会に出て働いている人もいる。

統合失調症は、私の若い頃は、遺伝とか犯罪に結びつくという誤解があり、私も兄が統合失調症だと分かり、見合い話がなくなった経験が2度ある。

今ではインターネットを見ると、厚生労働省の制度や患者本人と家族が相談できるセンターを知ることができ、便利な時代になったと思う。しかし、情報を手に入れることができても、病気になった本人の苦しみと家族の悩みは、すぐには解決できないと思う。

この病気は、1937年から「精神分裂病」と呼ばれ、2002年8月に「統合失調症」と病名が変更された。

現在の呼称に合わせて「精神分裂病」は「統合失調症」、「看護婦」は「看護師」、「精神病院」は「精神科病院」、「保健婦」は「保健師」と書くことにする。