親との関わり方も、早い段階から話しておく

一方、離れた場所に住んでいる子どもが、高齢の両親に対して「お互いを病院や施設に入れずに、家で見てあげて」と押し付けてしまうケースが時折見られます。

いくら夫婦といえど、年を重ねて自分にも身体の不調が出てくるなかで、夫や妻の介護を続けることは、時として難しい場面も出てきます。その負担を考えれば、家ではなく施設で過ごしたほうが、お互いにとって良い場合もあります。

『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(著:中村明澄/講談社)

ところが子どもは、「夫や妻が、家で介護をするほうが、病院や施設にいるより幸せに決まっている」などと、無意識のうちに押し付けたり決めつけたりしてしまうのです。

これらは、入院するとなかなか面会しづらいコロナ禍に入ってから、特に見られるようになった傾向です。良かれと思って発言する子どもの気持ちが、親にとっては重い負担になってしまうことがあるのです。

こうしたことを踏まえて、なるべく早い段階から考えてほしいのが、年を重ねるにつれ、少しずついろいろなことができなくなってくる親との関わり方。いざ老老介護が迫ってから、親との関わり方を考えるのではなく、親が少しでも元気なうちから考えておくことをお勧めします。