親の価値観を早めに知ろう

老いを認めるのは、親にとっても子どもにとっても簡単なことではありません。「自分はまだまだ大丈夫」「うちの親は元気だから」などと、親も子どもも、どこかに老いを認めたくない気持ちがあるものです。

しかし、老いは年を重ねるごとに、誰しもに訪れる現実です。多くの場合、いざ身体が弱ったり、介護で大変な時期に差し掛かるもっと手前の段階、いわば他人事のように気楽に「もしも」の話ができるぐらい元気なうちのほうが、正直な本音を言えたり、素直に頼めたりする人が少なくないように感じます。

老いを認めるのは、親にとっても子どもにとっても簡単なことではありません(写真提供:Photo AC)

早い段階から親を知ろうとすることで、親の希望や価値観を少しずつつかんでいきましょう。

私も今、娘として年老いた父親を見守っている一人ですが、親とはいえ自分とは別人なので、考え方や価値観をすべて理解しようとするのは、どうしても難しいことです。幼い頃に親が教えてくれたことが親の価値観とも限らず、それこそ日々発見の連続です。

親子だからこそ感情が邪魔したり、先入観を持ってしまったりもするため、一筋縄ではいかない部分もありますが、それでも親を知ろうとすることは大切だと実感しています。

子ども視点で言えば、なるべく早い段階で、親がどれくらいの関わり度合いを望んでいるかなどの希望を聞きながら、自分が関わることができる現実的なラインも見定めつつ、関わり方について話しておけたら良いと思います。

また兄弟がいれば、兄弟同士で親との関わり方について話し合っておくことも大切です。見守る上でのスタンスを話し合っておくことで、互いに意識のギャップを感じることなく、いざという時にも動きやすいと思います。

早いうちから大切な人の価値観を知ろうと心がけることで、差し迫ったタイミングで慌てたり、迷ったりすることを防げるはずです。