黒燕尾
肩パットの位置のこだわり。
全体のバランスを見て、私は肩パットは少し外側に付けるようにしていました。
頭身のバランスを見て、肩パットの位置にもこだわります。
口紅のこだわり。
お芝居で男役が赤は絶対にありません。
かといってヌーディーすぎても顔が締まらないので、茶色めを意識していました。
全部茶色ではなく、唇の枠を茶色で締めて、中に少し赤めを入れて、
細かくこだわっていました。
リーゼントの耳の上のサイドの髪の流れのこだわり。
リーゼントのサイドの髪を真後ろに流せば落ち着いた感じになり、
耳の後ろに下ろせば若い感じになります。
リーゼントは、シンプルだからこそ自分の顔に合うよう似合う形を研究しました。
そして忘れてはいけないのが、男役の制服とも言われている黒燕尾。
黒燕尾ほど男役の美学を映し出す衣装はありません。
シンプルだからこそ、着る人の個性が表れます。
丈はミリ単位でこだわり、黒燕尾の髪型も前髪はたらさないこだわりがありました。
黒燕尾を着こなせてこそ一人前の男役といえます。
黒燕尾を着て、素敵に立てることを目指していました。
男役の大階段の群舞。
モノクロの黒燕尾の演出が最高に素敵だった振付家の羽山紀代美先生。
上着を持ち、動く度に中の白ベストの見える分量が変わり、それを演出に加えて振りを付けるという
計算された完璧な演出はとても衝撃的でした。
品があってお洒落な先生の振付が、大階段の黒燕尾の群舞が一番大好きでした。