私の「男役の美学」

私にも譲れない男役の美学がありました。 

例えば、 

必ず娘役をリードする。
デュエットダンスの時は、娘役を一人で踊らせる事のないよう、
必ずこちらがリードすることを心掛けていました。
踊りが得意な人ほど一人で踊れてしまいます。
しかし、男役がリードした方が必ず娘役が綺麗に見えます。
これは絶対! 

相手役さんを綺麗に見せるのは男役の務め。
相手もそう思ってくれていたら完璧です。
さりげなく自然に娘役をリードすることを心掛けていました。 

ズボンのラインと丈のこだわり。
女性に見えないように、お尻周りがキレイに泳ぐラインに。
丈は後ろを長く、前の長さは短すぎず斜めのラインにこだわります。
靴が丸見えにならないように、銀橋などお客様に近い時になるべくキレイに見えるように。
靴もピカピカに磨きます。 

思い出の宝塚音楽学校旧校舎

衣装を着たら絶対に座りません。
座るとズボンにシワが入るからです。
基本的に衣装を着たあと楽屋に戻ることはほぼありません。
楽屋の化粧品や水物、何かが倒れて汚れてしまったら大変です。
それでも戻って作業をする時は、立ちっぱなしでします。
どんなに長時間でも、椅子に座ることはありません。
ズボンのラインの美しさにはこだわります。
今も衣装を着たら、絶対に座ることはありません。