(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第56回は「男役の美学」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

前回「昔の宝塚、恐怖の電話当番。なぜか芸名ではなく本名で上級生をお呼び出し…暗記力を試されているのか?」はこちら

「男役の美学」

「男役10年」
男役として完成されるまでには10年はかかると言われています。
男役に教科書はありません。
お手本はすぐ側にいらっしゃる上級生の方々。 

芸は真似から入ります。
立ち方、歩き方、座り方、所作、踊り方。
とにかく真似をするところから始まります。 

声も低く出すことを意識します。
その昔、声を潰すために稽古場のすぐ横を流れる武庫川で大声を出し
声を枯れさせたこともありました。 

いかにカッコよく見えるかを試行錯誤しながら、上級生を見て学び、
上級生から「ここはこうした方がいい」と指摘を受け、また稽古。
この方が男役っぽい、この方がカッコよく見える、
声の出し方、歩き方、踊り方、衣装の着こなし、メイク、髪型、
指摘を受けながら修正し、とにかく研究と稽古の日々でした。 

そんな積み重ねで、自分の目指す男役を作っていきます。
上級生から受け継がれてきた宝塚の男役の美学。 

すべての男役には自分の「男役の美学」があるのです。