カレー、恐るべし。

うちの子たちは、いつか母が自分たちのことで悩みすぎて玉ねぎを延々炒めて美味しくなったカレーを、お腹いっぱい食べて育ったことに気づく日がくるんだろうか。

米飛沫を上げて家カレーを食べる瑛介

今から7年ほど前に作ったとき、あまりのおいしさにちょっと自分でも涙が出てきてしまった(そんなにしょっちゅう作れないということもあり)。子どもたちだけでなく近所の人に持って行って食べてもらおうと思ったくらい、美味しいカレーが出来上がったことがある。

それでも…この世でたった一人、我が家の夫の口にだけ入ることはないのだ。

なんなら帰ってくるなりカレーの匂いが家中に溢れる、あの幸せなひとときに、「くさっ!」と言って家に入ってくる無神経さよ。何度この家から閉め出してやろうと思ったことか。こんな美味しいものが食べられない、あなたが不幸なのだ。今では肉じゃがに作り変えることもなく、堂々と「カレーしかないよ」と言ってカップ麺を用意できるようになった妻いずみ。
人って、変わるんだな。

カレーって一体いつから好きになるものなのか。
私は息子たちが育つ中で、意識的にその様子を観察したことがある。
2人とも、離乳食の後期あたりにすこぉしずつ味をつけられるようになった時、ほんのわずかなカレースパイスをふあっと一振りした柔らかいごはんを初めて食べさせてみた。

すると。
ちょっと笑ってしまうほど、明らかに今までの味付けと違う初めてのゴハンをガツガツガツ、本当にかき込むようにして食べ上げてしまった!ほぉ…んのわずかな量なのに。それまでスプーンの持ち方もぎこちなかったはずが、母から一口ずつ運ばれるのもまどろっこしいのか一人でガツガツガツガツ…とうとう上手にスプーンを使えるようにまでなってしまったのである。
カレー、恐るべし。