心強い先輩たちに頼りきりたい

そんな神木さんが、『キレイ―神様と待ち合わせした女―』(2019年12月4日〜)で初めて舞台に立つことになった。出演作は大人計画を主宰する松尾スズキさん作・演出のミュージカル作品。2000年に初演して以来人気を博し、今回が4度目の上演となる。

物語の舞台は、近未来を思わせる“もうひとつの日本”。民族紛争や少女監禁といった独特な設定やストーリーで演劇界に衝撃を与えた作品で、神木さんは頭は弱いが枯れ木に花を咲かせる能力を持つ少年ハリコナを演じる。


僕のまわりには、事務所の先輩の岸谷五朗さんと寺脇康文さんが主宰する「地球ゴージャス」の舞台を経験した役者が多くて。それに、あの佐藤健くんでさえ舞台でロミジュリをやっていますから(笑)。(広瀬)すずも今年初めて舞台に立っているし、そんな環境が僕の背中を押してくれた。経験した人は「楽しい」と口を揃えるので、僕もそう思えるかもしれない、と挑戦を決心したんです。

それに、今回の舞台は過去に共演させていただいた鈴木杏さんや麻生久美子さんもいらっしゃるし、阿部(サダヲ)さんは、なんと小学生の頃の僕を知っている(笑)。(荒川)良々さんにしても大河ドラマ『いだてん』では僕の兄弟子役ですから、みなさんと一緒なら、僕は導いていただけるだろうと確信しました。

今回の作品はファンが多く、そのぶんプレッシャーを感じます。過去の公演でハリコナを演じていたのは、阿部さん(初演、再演)と(小池)徹平くん(再再演)。表現力とパワーがすごかったので、僕が同じ役をやっていいのだろうかという不安もあります。でも、今回は二人とも同じ舞台上に別の役で立つので、安心感のほうが強い。

阿部さんは「セリフを間違えても『ハリコナはバカだからわかんない!』って言えばいいから」と言ってくださいましたし、徹平くんからは「余計なことを考えるとハリコナじゃなくなるから、何も考えないほうがいいよ」とアドバイスをいただいて。本番は、僕の気持ちを和らげようとしてくれる心強い先輩に頼りきろうと思います。

舞台が怖い怖いと言いながら、初の舞台で歌もダンスもある「ミュージカル」を選んでいたことに後で気がつきました。これはヤバいです! でも歌ったり踊ったりするのは大好き。いろいろな課題が待っていると思いますが、腹をくくります。公演後には、もしかしたら一気に舞台にハマっているかもしれません。(笑)