平松先生「『視力』とは、医学的には『ものを見る機能』全般を指す言葉ではありません」(写真提供:Photo AC)
サプリを摂取する、眼を揉む・洗う・温めるなど「視力を良くする」ための様々な情報が広まっていますが、これらは本当に正しいのでしょうか? 「習慣を見直せば『一生見える目』は手に入る!」と主張するのは、眼科専門医・医学博士の平松類先生。平松先生は「そもそも『視力』とは、医学的には『ものを見る機能』全般を指す言葉ではありません」と言っていて――。

そもそも何をもって「視力改善」とするのか?

視力を改善することはできるのか。

この点についてお話しする前に、ハッキリさせておきたいのは「何をもって視力改善というのか?」という問題です。そもそも「視力」という言葉について、眼科専門医と一般の方々との間には大きな認識の乖離(かいり)があるようなのです。

おそらく、みなさんのイメージする「視力」とは、「メガネもコンタクトレンズもつけない状態(裸眼)でどれくらい見えるか」でしょう。

この「どれくらい見えるか」には、「どれくらいものがハッキリ見えるか」だけでなく、「どれくらい視野が広く見えるか」なども何となく含まれている印象です。ざっくり「ものを見る機能」全般を指して「視力」と捉えているのではないでしょうか。

一方、眼科専門医の言う「視力」は、より厳密です。「視力」とは、医学的には「ものを見る機能」全般を指す言葉ではありません。

では何を「視力」と呼ぶのかというと、「視力検査表のランドルト環(Cの字)を判別する力」です。

世の中には、視力が高いけれども真っ直ぐ歩けない人もいれば、視力が低いけれども真っ直ぐ歩ける人もいます。つまり「視力」とは「ものを見る機能」の一つの指標にすぎないのです。