平松先生「気休め程度に市販薬を使い、だましだまし生活を続けるくらいなら、早めに眼科を受診しましょう」(写真提供:Photo AC)
サプリを摂取する、眼を揉む・洗う・温めるなど「視力を良くする」ための様々な情報が広まっていますが、本当に効果があるのでしょうか? 一方で「習慣を見直せば『一生見える目』は手に入る!」と断言するのは、眼科専門医・医学博士の平松類先生。平松先生は「気休め程度に市販薬を使い、だましだまし生活を続けるくらいなら、早めに眼科を受診しましょう」と言っていて――。

「眼精疲労」は単なる目の疲れではない

単なる「目の疲れ」なら、少し目を休ませてあげれば、すぐに解消します。

より厄介なのは、目の疲れが、頭痛や肩こりといった全身症状にまで派生している「眼精疲労」です。

何が厄介かというと、第一に、症状が表れる箇所が多く、しかも慢性化しやすいため解消に時間がかかることがあります。そして第二に、「この症状は目の疲れから生じているものだ」という自覚をもちづらいことです。

自分は頭痛もちで鎮痛剤が欠かせない、いつも肩が凝っている、全身がだるい、頭が重い、気持ちが沈みがち……こうした何となくの不調の自覚はあっても、それを「目の疲れ」と結びつけて捉えていないのです。

目の疲れが全身にまで影響しているとは、たしかに、一般的にはなかなか想像しづらいかもしれません。

しかし現実には、目の疲れにアプローチしたことで、まるでオセロが一気にひっくり返るように、さまざまな何となくの不調が解消してしまうケースは非常に多いのです。

ただ、不調が多部位にわたり、かつ慢性化しやすい眼精疲労は、ある程度時間をかけて解消していく必要があります。

それを知らないために「目を休めても、全然よくならない。ということは、やっぱり目の疲れが原因ではないんだ」と早々に投げ出してしまう方も少なくありません。

そこから「本当の原因」の特定と治療を求めて整体院や整骨院に通い、鍼灸(しんきゅう)を試し、脳外科医であらゆる検査を受け……という行脚が始まってしまうのです。

しかし結局、何もわからず、改善もせずに眼科に戻ってくるというパターンをよく目にします。