世界時価総額ランキングの変遷

たとえば世界時価総額ランキングでは、1989(平成元)年、日本がバブル景気の真っただ中だったころにはランキング上位20社のうちの14社が日本企業でした。

それから34年、2023年のランキングでは、日本企業はひとつも入っていません。多くの会社が入れ替わっていったのです。

14社の変遷を簡単に述べましょう。89年の世界時価総額ランキング1位は、民営化された後のNTTでした。しかし電気通信サービスの公正な競争の促進を図るため、99年に持株体制へ移行し、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズが設立されました。

2位から5位、7位、13位の6社は銀行で、91年のバブル崩壊による不良債権処理問題、日本版金融ビッグバンなどを経て合併が進み、当時のままの姿で残っているところはありません。

9位の東京電力は、2011年の東日本大震災による福島第一原発事故、16年の電力自由化などで、厳しい状況にさらされています。

14位の野村證券は、1999年に株式売買委託手数料が自由化されたことで、ネット証券に利益が侵食されていきました。

バブル期には膨大な土地の含み益もあった15位の新日本製鐵は、外国メーカーの台頭や原材料費の高騰に苦しみ、かつての粗鋼生産量世界首位から徐々に後退。

業界大手のアルセロール・ミタル(本社ルクセンブルク)による敵対的買収の脅威にさらされたこともあり、2012年に住友金属工業と合併して「新日鐵住金」となり、その後19年に社名変更して「日本製鉄」となっています。