自分が所属している会社の未来はどうだろうかということを、常に考えておく必要があります(写真:本社写真部)
画像や文章、そしてコンピューター用のプログラムなど、さまざまなものを生成することができる「生成AI」。日常生活やビジネスの中でも徐々に登場するようになってきたのではないでしょうか。人工知能が発達した現代にこそ「想像力を鍛える」ことが重要だと語るのは、ジャーナリストの池上彰さん。池上さんいわく「SF思考法」がビジネスの場で活用され始めているそうで――。

「SF思考」をビジネスに

今の時代にこそ、前を向いて明るい未来を描く、「想像力」が必要です。

身の回りにいる大切な人たちや、同時代を生きる世界の人たちのために、未来の自分や世界のために、自分は今何ができるのか、どういう生き方をしたいのか。

受動的に生きるのではなく、自分なりに精一杯、充実した人生を送るには、どうすればいいのか。そのときに必要なものが、何よりも想像力なのです。

想像力と言えば、SFはまさに、豊かな「想像力」の産物です。

こうしたSFに携わる作家や編集者たちなどの思考法を、「SF思考」あるいは「SFプロトタイピング」としてフレームワーク化し、ビジネスに活用しようとする動きが広がっています。SFの持つ力で、産業の活性化やイノベーション創出を目指すというわけです。

たとえば、50年先や100年先の未来を、SF作家に依頼して小説のかたちで書いてもらう。

それをもとに、「そういう世界で、わが社はどういう立場にいるんだろう」あるいは「そのときまでわが社が生き残っていくためには、何が必要なんだろう」といったことを想像し、議論するのです。

夢を叶える人は、未来から現在を振り返る視点を持っています。企業活動も同じです。50年先や100年先の未来を見通した上で、未来を起点として現代を振り返ってみて、今何をすべきかを考えるということなのです。