体さえ丈夫ならいつまでも戦える
寄席では紙切りや曲芸のように、落語の合間の彩(いろどり)として演じられる芸を「色物」と呼びます。落語だけが続いたら、お客さんだって疲れちゃう。
だから一度、色物で頭を空っぽにしてもらい、また新鮮な気持ちで落語を聞いてもらう。メリハリですね。
現在、僕のところには、名前のついている弟子が3人います。一番上が「楽一」といって、もう落語協会に入って寄席に出ています。あとの2人はアルバイトをしながら修業中です。
弟子入りを希望する人に「この世界は食えないよ?」と言うと、大抵が諦めてくれます。今だって、自分が食べていくのがやっとなんですから。
若さでは彼らに勝てないから、それこそ切ったもので勝たないといけない。歳をとったから一番、じゃないですからね。紙切りには定年がないぶん、体さえ丈夫ならいつまでも戦える。
これからもお客さんと戦い、弟子とも戦っていかないとと思っています。僕はいつだって、その時代の一番でいたいんですよ。